発刊趣旨


 サイエンス(科学)は、自然を知ることから始まった人間の固有の営為であり、 その成果は人間の生活を豊かにすることに貢献してきた。しかし、18世紀の産業 革命以後、科学の知識を応用する中で、自然環境に非可逆的な変化をもたらし、 今なおそのトレンドは止まることがない。
 科学を進め、その応用を行うときの基本的考え方、パラダイムが誤っていたか らにほかならず、地球環境を滅亡に導かないために、今求められるのは新しいパ ラダイム
(1)地球上で得られる太陽エネルギー以上のエネルギーを頼りにしない
(2)地球環境に緩和時間の長い変化をもたらさない
(3)未来の技術を担保にしない
(4)生産者責任を負う
に基づいた科学である[1]。
 そのような科学の確立を目指して、オリジナルな学術論文・総説、純粋な 科学の立場からの科学・学術政策に関する忖度のない論考および新時代の科学教育の 開発を掲載し、広く公論の場を提供するために、本研究所の紀要として「衣笠科学論壇」 をオープンアクセスの雑誌として刊行する。
[1] 小田垣孝、科学(岩波書店)32巻, 557-562(2012).


トップに戻る