「学府・研究院制度の管理運営について」についての意見
(平成14年5月2日中西部門長に提出)
1.掲げられている五つの課題は、研究院制度が検討されていたときから
問題になっていたもので、それらに対策を講じることなく研究院制度に突
き進んだ総長主導の大学運営について、何らかの反省があってしかるべき
である。
2.教官組織(Faculty), 学部(Undergraduate school), 大学院(Graduate
school), 研究所(Institute)が存在する形態は、アメリカのシステムと
同様であり、運営さえ効率化すれば、機能するものである。現状の問題点
の認識が、本質を外れたものになっており、新たな委員会を設けても、う
まく機能するとは思えない。要は委員会の問題ではなく、考え方の問題で
ある。
3.研究院(Faculty)は、学問体系にそってその組織が作られるべきであ
り、学問体系の変遷は100年くらいの単位で起こるものである。それを5年
や10年の判断で変更することは、大学の基盤を崩すことになる。10年位の
スケールで変遷する最先端の研究分野をカバーする研究所などの改革と、
100年位のスケールでのみ変わる学問体系に基づく学部・学科の見直しを
同列には論じられない。
4.大学で行われる学問・研究の「寿命」には、様々なものがあり、10年
単位で変遷する分野も、数10年以上生きつづける分野も存在する。これら
を全く同じ基準で論じることはできないのは、論を待つまでもない。
5.外部評価によって研究院その他を見直す考え方は、必ずしも正しい方
向とはいえないであろう。第一になぜ外部評価委員の判断が最優先される
のか?外部評価委員の意見が、金科玉条のごとくなり、大学自身の自己改
革能力が失われる。大切なことは、大学自身が国民に付託された目標を掲
げ、相互批判の中から自己変革を遂げていくことであろう。ややもすれば
総長及びその補佐の独裁制になりやすいシステムを変え、相互批判が可能
なシステムに改めるべきである。
6.複担、兼担、分担などの分類は、事務的・官僚的発想に立ったもので
ある。教官の立場に立った教官の配置法を考えるべきである。